第5回高齢者問題研究会
『H25年改正後の相続税について』

相続税の計算方法

相続税の計算方法

平成25年度 相続税改正 (1)基礎控除引下げ・税率引上げ

平成27年1月1日以降の相続発生~

現行 改正
(1)基礎控除の引き下げ
5000万円
+1000万円×法定相続人の
3000万円
+600万円×法定相続人の数

基礎控除額が60%に縮減 相続税申告割合が増加

現行 相続税の速算表
(単位:千円)
法定相続人の法定相続分 税率 控除額
10,000 10% 0
10,000 30,000 15% 500
30,000 50,000 20% 2,000
50,000 100,000 30% 7,000
100,000 200,000 40% 17,000
300,000 50% 47,000

改正 相続税の速算表
(単位:千円)
法定相続人の法定相続分 税率 控除額
10,000 10% 0
10,000 30,000 15% 500
30,000 50,000 20% 2,000
50,000 100,000 30% 7,000
100,000 200,000 40% 17,000
200,000 300,000 45% 27,000
300,000 600,000 50% 42,000
600,000 55% 72,000

相続税の早見表(現行)

単位:千円
配偶者がいる場合(一次相続) 配偶者がいない場合(二次相続)
相続財産 子供1人 子供2人 子供3人 相続財産 子供1人 子供2人 子供3人
30,000 0 0 0 30,000 0 0 0
35,000 0 0 0 35,000 0 0 0
40,000 0 0 0 40,000 0 0 0
50,000 0 0 0 50,000 0 0 0
60,000 0 0 0 60,000 0 0 0
80,000 500 0 0 80,000 2,500 1,000
100,000 1,750 1,000 500 100,000 6,000 3,500 2,000
120,000 3,250 2,250 1,630 120,000 11,000 6,500 4,500
140,000 5,000 3,750 2,880 140,000 17,000 10,000 7,500
160,000 7,000 5,500 4,380 160,000 23,000 14,000 10,500
180,000 9,500 7,250 6,130 180,000 31,000 19,000 14,000
200,000 12,500 9,500 8,120 200,000 39,000 25,000 18,000
250,000 20,000 15,750 13,750 250,000 59,000 40,000 30,000
300,000 29,000 23,000 20,000 300,000 79,000 58,000 45,000
400,000 49,000 40,500 35,250 400,000 123,000 98,000 77,000
500,000 69,000 58,500 52,750 500,000 173,000 138,000 117,000

※ 配偶者が法定相続分(1/2)を取得
  したものとして配偶者の税額軽減を適用

相続税の早見表(平成27年1月1日~)

単位:千円
配偶者がいる場合(一次相続) 配偶者がいない場合(二次相続)
相続財産 子供1人 子供2人 子供3人 相続財産 子供1人 子供2人 子供3人
30,000 0 0 0 30,000 0 0 0
35,000 0 0 0 35,000 0 0 0
40,000 0 0 0 40,000 400 0 0
50,000 400 100 0 50,000 1,600 800 200
60,000 900 600 300 60,000 3,100 1,800 1,200
80,000 2,350 1,750 1,375 80,000 6,800 4,700 3,300
100,000 3,850 3,150 2,625 100,000 12,200 7,700 6,300
120,000 5,800 4,800 4,025 120,000 18,200 11,600 9,300
140,000 7,800 6,550 5,775 140,000 24,600 15,600 12,400
160,000 10,700 8,600 7,675 160,000 32,600 21,400 16,400
180,000 13,700 11,000 9,925 180,000 40,600 27,400 20,400
200,000 16,700 13,500 12,175 200,000 48,600 33,400 24,600
250,000 24,600 19,850 18,000 250,000 69,300 49,200 39,600
300,000 34,600 28,600 25,400 300,000 91,800 69,200 54,600
400,000 54,600 46,100 41,550 400,000 140,000 109,200 89,800
500,000 76,050 65,550 59,625 500,000 190,000 152,100 129,800

※ 配偶者が法定相続分(1/2)を取得
  したものとして配偶者の税額軽減を適用

平成25年度 相続税改正 (2)その他

未成年者控除・障害者控除の改正(平成27年1月1日~)

  • 未成年者控除
    • 現行 20歳までの1年につき6万円  → 改正 20歳までの1年につき10万円
  • 障害者控除
    • 現行   85歳までの1年につき6万円(特別障害者については12万円)
    • 改正   85歳までの1年につき10万円(特別障害者については20万円)

相続時精算課税贈与制度の適用要件緩和(平成27年1月1日~)

制度の概要

  • 65歳以上の父母が20歳以上の推定相続人に贈与できる制度
  • 贈与額が累積して特別控除額2500万円まで非課税でそれを超えた分に対して20%の贈与税
  • 父母が死亡した場合にはこの制度による贈与財産を遺産に合算して相続税額を計算(贈与税額は控除)
現行
受贈者 20歳以上の推定相続人
贈与者 65歳以上の者
改正
受贈者 20歳以上の推定相続人及び孫
贈与者 60歳以上の者

小規模宅地等の課税価格の計算特例の適用範囲拡大(平成27年1月1日~)

二世帯住宅・老人ホーム入所の場合の特定居住用宅地等の適用要件緩和(平成26年1月1日~)

教育資金の一括贈与に係る非課税措置の創設

平成25年4月1日~平成27年12月31日の時限措置

現行「教育費を支払の都度、贈与するなら贈与税の非課税」

⇒創設「直系卑属(子・孫・曾孫)に対して、銀行等を通じて教育資金を贈る場合には、1500万円まで非課税」

概  要

30歳未満受贈者(贈与を受ける人)の教育資金に充てるため、その直系尊属が金銭を拠出し、金融機関に信託等をした場合には、拠出額のうち1500万円(※)までの金額については、贈与税は課されません。

(※)学校等以外の者に支払われる金銭については500万円

申  告

拠出時:
受贈者は、「教育資金非課税申告書」を金融機関を経由して税務署に提出
払出時:
受贈者は、払い出した金銭を教育資金の支払に充当したことを証する書類(領収書など)を金融機関に提出しなければいけません(金融機関が記録を保存)
終了時:
受贈者が30歳に達した日に金融機関に残額があるときは、その残額に対して贈与があったものとして贈与税が課されます。ただし、受贈者が30歳になる前に死亡した場合には、残額については、贈与税は課されません。

相続税調査におけるチェック項目

金融資産 家族名義の預金や有価証券の実質所有者
家族構成、家族の年齢、職業、年収 など
通帳使用印鑑の印影やサイン
各預金の原資の追跡
死亡前5年間(~10年間)の金融資産の動き
家族名義預金や架空預金の形成の可能性
被相続人の生前の所得から判断して預金などの申告額は適正かどうか
相続開始前に多額の資金などの引き出し
タンス預金の有無?
家族に収入が無いにもかかわらず家族名義の投資信託や株式等がある場合、購入資金の出所やその実質所有者
不動産 相続人や孫等が不動産を所有している場合、購入資金などの贈与がなかったかどうか?
同族法人への貸地の借地権控除割合は適正か?
広大地評価の適用は適正かどうか?
山林、農地などの縄延び(面積増大)

生前贈与が認められるためには

子や孫の名義に変更している預金や株式など・・・

贈与成立を主張するためには・・・(民549条)

  1. 「あげました」という意思表示
  2. 「もらいました」という認識
  3. もらった人による財産の管理・運用
  4. 1から3を立証する根拠
    例えば・・・
    • 受贈者による管理運用の実態
    • 贈与契約書
    • 贈与税の申告書
    • 口座開設書類などの名義人の自署
    • 名義人が出金した実績
    • 金融機関届出印
    • 同族会社株式の取締役会議事録

贈与で無い場合、贈与税の時効(6年)も無関係

税務署からだけではなく、他の相続人から「不当利得」だと言われ、遺産分割トラブルに発展する可能性も

妻名義の財産は誰のもの?

民法(762条1項)
『婚姻中自己の名で得た財産はその特有財産とする』

財産は働いた人のモノ (← 財産分与・配偶者の相続権)

夫からの贈与であったとしても、証拠を残していない場合には、税務調査で奥様名義の財産もご主人の遺産に含めて修正を求められる可能性有

税務調査に向けた準備

  1. 実家などからの相続・受贈財産、給与収入、年金収入などがある場合は、できる限り整理して相続人に引継ぎ
  2. 家事、子育てなどの労務対価としてご主人から奥様へ「その都度支払っていた」事実があるのならば、そのことを覚書

今後の安易な名義変更は要注意!

平成19年より、配偶者への財産名義変更を、相続税の軽減を目的とした仮装隠ぺい行為であると認定された場合には、配偶者の税額軽減が適用できなくなりました。

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